その腰痛はマッサージだけでは解決しない
腰が痛くなると、「マッサージでほぐしてもらおう。」、あるいは「腹筋や腰を鍛えて守ろう。」と考えがちです。
その気持ちは痛いほど分かります。
しかし、厳しい現実をお伝えしなければなりません。
それは、家の傾きで扉が開かなくなっているのに、一生懸命ロウを塗って滑りを良くしようとしているようなものです。
土台そのものが傾いている状態で、いくら扉にロウを塗ったり(マッサージ)、新しい扉に変えたり(湿布や薬)しても、それは一時的な気休めに過ぎません。
家が歪んでいる限り、すぐにまた扉は軋み始め、痛みはぶり返すでしょう。
今回は、柔道整復師として、そしてパーソナルトレーナーとして多くの腰痛のお悩みと向き合ってきた経験から、アラフォー男性がこの構造エラーを根本から解決するための3つの手順を解説します。
1. まずは回復できる体に整える
腰の不調を感じた時、腰そのものに目が行きがちですが、もっと大切なことがあります。
それは、体が回復する状態になっているかどうか。
ここには、物理的な負担と、神経的な緊張の2つが深く関わっています。
まずは単純に、体重による物理的な負担です。
体重が増えると、お腹によって重心が前に引っ張られます。
それを支えるために、腰の筋肉は無意識に24時間、体を後ろに引き戻し続けなければなりません。
つまり、起きている間はずっと腰の筋トレを強制されている状態です。
これでは、どんなにマッサージをしても疲労回復が追いつきません。
そしてもう一つ重要なのが、腸内環境と自律神経の関係(腸脳相関)です。
体重が増えているということは、食生活が乱れ、腸内環境が悪化している可能性が高いです。
ここで知っていただきたいのが、脳と腸は互いに影響し合っているということ。
腸の状態が悪いと、そのストレス信号が脳に伝わり、自律神経の交感神経(興奮スイッチ)が強制的にオンになります。
するとどうなるか?
常に体が戦闘モード(過緊張)になり、筋肉がリラックスできず、疲労が全く抜けない体になってしまうのです。
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体重コントロール(物理的な負担を減らす)
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腸内環境の改善(神経の緊張を解く)
この2つにたっぷりの睡眠を加え、まずは回復するという体の状態を取り戻すこと。
これが、運動や治療の効果を最大限に引き出すためのスタートラインです。
2. 呼吸エラーを修正する
土台(回復システム)が整ったら、次に見直すべきは呼吸のメカニズムです。
多くの腰痛持ちの男性に見られるのが、お腹の重みを支えようとして腰を過剰に反らせてしまう反り腰の姿勢です。
この姿勢が続くと、ある致命的な構造エラーが発生します。
それが、肋骨が開きっぱなしになる(リブフレア)という現象です。
本来、息を吐くときに肋骨は閉じ、吸うときに開きます。
しかし、反り腰で体が弓なりになると、肋骨は常に開いた状態でロックされてしまいます。
すると、肋骨下部にある横隔膜が上下運動が小さくなってしまいます。
これが何を招くか?
1. 肩こり・首こり
メインエンジンの横隔膜が動かないため、体は仕方なく首や肩の筋肉を使って無理やり息を吸おうとします。
人間は1日に約2万回呼吸をします。
つまり、1日2万回首や肩を過剰に使用しているということ。
これでは、どれだけ肩を揉んでも肩こりが治るはずがありません。
2. 交感神経の暴走による腰の緊張
呼吸が浅く速くなると、脳は酸欠だ!緊急事態だ!と判断し、自律神経を一気に、戦闘モード(交感神経優位)に切り替えます。
体は防御反応として全身を硬直させ、筋肉をガチガチに固めてしまいます。
肋骨を閉じ、横隔膜を正しく動かせるようになること。
それにより、神経の興奮解除する。
マッサージで外から筋肉を緩める前に、まずは呼吸で緊張を生み出すスイッチを切らなければなりません。
3. 無理のない運動の順番を守る
土台(回復システム)とスイッチ(呼吸)が整って初めて、具体的な運動のアプローチに入ります。
ここで多くのアラフォー男性が、
「よし、腰を強くしよう!」
といきなり腹筋運動やスクワットを始めてしまいますが、これは非常にリスクが高いです。
私がトレーナーとして提案する取り組むべき順序があります。
まずは、痛みが強い時は無理をせず、炎症を落ち着かせること(マイナス)。
そして動ける状態になったら、ウエイトトレーニングの前にピラティスから始めます。
なぜか?
それは、筋バランスが崩れたままでは、鍛えるべき筋肉を鍛えることができないから。
まずはピラティスで、普段使えていない筋肉。
その中でも重要な、体の奥にある筋肉(インナーマッスル)を目覚めさせます。
そして、体が整った状態でウエイトトレーニングへと進みます。
筋肉を負荷をかけて鍛えるのは、日常生活の動作を圧倒的に楽にするため。
例えば、床にある10kgの荷物を持ち上げるとします。
筋力がギリギリの人にとっては全力の重労働ですが、デッドリフトで100kgを扱える人にとっては軽作業になります。
最大筋力(MAX値)が高ければ高いほど、日常にかかる負担の割合は相対的に小さくなります。
整った骨格で、必要な筋力をつける。
そうすることで、階段の上り下りも、長時間のデスクワークも、すべてが余裕のある動作に変わります。
この身体的な余裕(キャパシティ)を作ることこそが、腰痛を二度と繰り返さないための最終ゴールなのです。
痛み止めやマッサージは解決ではありません
ひとつだけ、重要な注意点をお伝えします。
もし、あなたの腰痛が以下の状態なら、すぐに整形外科を受診してください。
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じっとしていても痛む(安静時痛)
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足にしびれがある
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熱がある、排尿障害がある
これらは、トレーニングやセルフケアでどうにかできる領域を超えています。
しかし、もしあなたの痛みが慢性的な不調であり、マッサージに行けば一時的に治るが、またぶり返す類のものであるなら。
それは体があなたに送っている、今の体の使い方は間違っているというサインです。
痛み止めやマッサージで痛みを消すことは、あくまで一時的な処置に過ぎません。
それは、問題を解決せず、先送りにしているだけです。
痛みを消すこと(対症療法)をゴールにするのではなく、痛みが起きない体(根本治療)を作ることをゴールにしましょう。
忙しいからとメンテナンスを後回しにしたツケは、必ず将来の自分に返ってきます。
痛みは敵ではなく、体からの使い方を見直してくれというメッセージです。
40代なら、まだまだ間に合います。
痛み止めやマッサージで誤魔化すのをやめ、根本的な改善に踏み出しましょう。
今の取り組みが、これからの10年、20年を健康に動き続けるための土台になります。
さあ、一生使えるカッコよく動ける体を、正しく作っていきましょう。
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